【JFCAコラム】「イングランドサッカー協会(FA)の大改革」に対するヒアリング①

2017年、FIFA U-17ワールドカップ・FIFA U-20ワールドカップ共に優勝し、アンダー世代のW杯すべてで頂点に立った“ヤングライオンズ”(イングランドユース代表の愛称)。この年、国際大会ではW杯だけでなく、欧州選手権(EURO)やその他の国際大会で合わせて4つのタイトル、1つの準優勝を達成した。

今回は、現地で指導者や選手の留学をサポートする代理人としてもトップレベルで活動する宮原氏が、イングランドサッカー協会の担当者( ※)に行ったイングランドサッカー協会の大改革に関するヒアリングの内容の連載となります。

※回答者:リチャード・アレン (イングランドサッカー協会)

第1回は、イングランドサッカーの展望についてです。

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【イングランドの展望はどこかの国を模倣する事ではありません。】

勿論、他の国を常にみて、研究し続ける事は大事である事は十分に認識しております。ただ、私たちは、スペインではありませんし、ドイツでもなく、オランダでもなく、イングランドなのです。イングランド独自のアイデンティティーがあり文化があります。ですので、現在世界トップのチームがどのような事をし、どのようにすればそこに方を並べられるようになるかを研究しますが、その上にいかなくてはならないのです。私たちが行おうとしている事はワールドカップや主要なトーナメントで優勝している国と、現在の私たちイングランドとの間にあるどのような溝があるかを理解する事に務めております。

例えば、ドイツやスペインと私たちの間にある差をどのようにして詰める事が出来るのか?そしてその差を詰め世界のトップに立つ為に自国の文化を理解することが必要です。

ひとつに勝つ為に何が必要かという事を、幾通りもの面から未来の為に選手を理解し、選手の能力を最大限に引き出す為にどのようなコーチングをすれば良いか、どのようなサポートをすれば良いかを理解する必要があります。またそのサポートする私たちがどのような存在であるかという事を知る事は重要です。繰り返しになりますが、スペインやドイツ、オランダではなく、私たちは島国で、良い歴史もあれば成長を妨げている歴史もあります。

私たちの特徴として、皆さんがご覧になっているプレミアリーグのように早くて力強いことが、一つのプレースタイルがあると思います、そして多くの国の人が私たちが4−4−2でプレーし、ロングボールを多用しバトルする事が好きであるという事に対して良い印象をもっておりません。

しかしながらそのような事実はなく、ここ数年のイングランドの国際マッチをみるとそのような戦い方はしておりません。

しかしながら、私たちの特徴を生かす事を大事にしたい。コンペティティブな性質のところやファイティングスピリットは失いたくなく、ゲームに勝つ為にその良いところを消さずにプレーする為にそれに合った性格と能力の選手を選ばなくてはなりません。

それに到達するには下部のコーチから何が必要かという正しいコーチングをする事が必要不可欠です。ですので、確かなリサーチに基づき良いコーチの教育をする事、それはどのような事が必要であるかという事を理解する事が必要です。そのリサーチは大学等に協力を仰ぎ、世界でどのようなフットボールが行なわれているか、海外のトーナメントに積極的に参加したり、他の協会に積極的に訪れるようにしております。しかし、参加、訪問するだけでなく、それらから何を学び活かせるかに重点を置いております。

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プロフィール

宮原継享氏

1980 年 9 月 21 日生まれ。岡山県出身。高知大学時代には、総理大臣杯 3 位や、中国・四 国代表として大学選抜大会デンソーカップにも出場。大学卒業後、2004 年に渡英し、ロン ドン大学大学院バークベック校で欧州サッカークラブの経営やアメリカの多様なスポーツ ビジネスを学ぶ。06 年からロンドン最大規模の日系サッカークラブ London Japanese Junior FC に勤務し、イングランドサッカー協会の指導者ライセンス F.A Level 2 を取得。 13 年には現職の Japan at UK limited で Football Samurai Academy を創設した。指導者 や選手の留学をサポートする代理人としてもトップレベルで活動し、今夏オランダ 1 部ヘ ーレンフェーンに移籍した小林祐希、モンテネグロからポーランド 1 部、ブルガリア 1 部 に移籍した加藤恒平、日本出身でフィリピン代表という異色の経歴を持つ佐藤大介のルー マニアリーグ移籍など、様々なタイプの移籍を成立させてきた。

※プロフィール引用

https://www.soccer-king.jp/news/japan/20161102/510962.html