【JFCAコラム】「イングランドサッカー協会(FA)の大改革」に対するヒアリング②

2017年、FIFA U-17ワールドカップ・FIFA U-20ワールドカップ共に優勝し、アンダー世代のW杯すべてで頂点に立った“ヤングライオンズ”(イングランドユース代表の愛称)。この年、国際大会ではW杯だけでなく、欧州選手権(EURO)やその他の国際大会で合わせて4つのタイトル、1つの準優勝を達成した。

今回は、現地で指導者や選手の留学をサポートする代理人としてもトップレベルで活動する宮原氏が、イングランドサッカー協会の担当者( ※)に行ったイングランドサッカー協会の大改革に関するヒアリングの内容の連載となります。

※回答者:リチャード・アレン (イングランドサッカー協会)

第2回は、イングランドのDNAについてです。

(第1回の記事はこちら)

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2 イングランドのDNAとは?

それを達成する為にイングランドの哲学に基づき私たちが持っているイングランドのDNAを最大限に引き出す事により、メインエリアをカバーしその為に詳細を詰めます。

・私たちは誰であるか?

・どのようなプレーをするのか?

・どのようなコーチングをするのか?

・未来の選手の具体像とは?

・どのようなサポートが必要なのか?

この5つのエリアが私たちのキ−クエッションでそれに応えるにはかなり詳細を調べる必要があります。例えば、スポーツサイエンス、ニュートリション(食事)、タレントの発掘、コーチの教育など多岐にわたります。

FAには私が所属するテクニカルダイレクター部門があり、さらに二つの部署にわかれています。一つは、代表強化で、もう一つは教育関連です。

同じ一つの部門で、男子、女子の代表、そしてグラスルーツからUEFAプロライセンスまで一つのダイレクトレートでやっていますが、それらのコースを地域のサッカー協会には任せておらずイングランド代表でやっている事全てを統一したコーチ育成メソッドを使います。試合に勝つ為にコーチ達の使命が何なのか、それを統一しその原理も統一する事が大切だと考えています。ですので、両方のコンビネーションが重要になります。

試合分析に関しては、リサーチをする人をFA内外で雇っています。協会内で湧いてきた疑問をコミッションベースで依頼しています。ですので、例えば答えが定かでない事象に対してプロフェッショナルな団体に依頼し特別な調査をしてもらいます。他には例えば、ヨーロッパのチャンピオンシップのコーチ達やそれぞれの年代のタレント発掘のスカウトと連携をとり、フランス等で行なわれる試合のレポートやフィードバックをもらいそれをヨーロピアンチャンピオンシップのアナライズに使っております。

私たちのFA YCDsは、プロクラブにおける若いコーチの育成をしており、どのような将来になるかトレンドがどのようになるかを決定するのに必要な情報を収集し分析します。10年15年後のフットボールがどのようになっているかを予測する事は非常に難しいですが、それをしようと試みております。

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プロフィール

宮原 継享 氏

1980 年 9 月 21 日生まれ。岡山県出身。高知大学時代には、総理大臣杯 3 位や、中国・四 国代表として大学選抜大会デンソーカップにも出場。大学卒業後、2004 年に渡英し、ロン ドン大学大学院バークベック校で欧州サッカークラブの経営やアメリカの多様なスポーツ ビジネスを学ぶ。06 年からロンドン最大規模の日系サッカークラブ London Japanese Junior FC に勤務し、イングランドサッカー協会の指導者ライセンス F.A Level 2 を取得。 13 年には現職の Japan at UK limited で Football Samurai Academy を創設した。指導者 や選手の留学をサポートする代理人としてもトップレベルで活動し、今夏オランダ 1 部ヘ ーレンフェーンに移籍した小林祐希、モンテネグロからポーランド 1 部、ブルガリア 1 部 に移籍した加藤恒平、日本出身でフィリピン代表という異色の経歴を持つ佐藤大介のルー マニアリーグ移籍など、様々なタイプの移籍を成立させてきた。